Mozilla Security Blog 日本語版

Mozilla Security Blog を日本語に翻訳(非公式)

【翻訳】パブリックな web における SHA-1 の廃止

この記事は、2016 年 10 月 18 日付で Mozilla Security Blog に投稿された Phasing Out SHA-1 on the Public Web(筆者: J.C. Jones)の翻訳です。この翻訳は公式なものではありません。詳しくはこちらをご覧ください。


インターネットの誕生から長きにわたって私たちが利用してきた SHA-1 アルゴリズムは、数学や技術の進展によって引退の時期を迎えつつあります。近い将来、強い動機と莫大なリソースを持ちさえすれば、SHA-1 アルゴリズムを用いたディジタル証明書は偽造できるようになるでしょう。

私たち Mozilla も参加している CA/Browser Forum の取り組みや、昨年お知らせした Mozilla における SHA-1 の廃止予定(参考:日本語訳)、ならびに NIST の勧告に基づき、今年の 1 月から web 用の SHA-1 証明書はほとんど発行されなくなり、より安全なアルゴリズムを利用した新しい証明書が発行されるようになりました。2016 年 5 月と比較すると、web における SHA-1 の利用率は 3.5% から 0.8% に減少したことが Firefox Telemetry の調査 で分かっています。

Firefox では 2017 年の初めより、接続先サーバが SHA-1 証明書を利用しており、かつその証明書のチェインを辿った結果 Mozilla's CA Certificate Program へ繋がった場合、「接続の安全性を確認できませんでした」というエラーが表示されるようになります。なお、この場合のエラーをユーザが無視して接続することはできません。ただし、ユーザが手動でインポートしたルート証明書にチェインが繋がった場合、デフォルト設定では SHA-1 証明書でも接続が許可されます。これにより、企業内のルート証明書といった特定のユースケース に引き続き対応できます。とはいえ、SHA-1 から可能な限り速やかに移行することを強く推奨します。

このセキュリティポリシーFirefox 51 でオプションとして導入されており、今後ポリシーの適用率を順次増加させていく見込みです。現時点で Firefox 51 は開発者向けバージョンですが、公式リリースは 2017 年 1 月を予定しています。ポリシーの適用によって実際に生じる影響を評価するため、Firefox 51 のベータ版(今年の 11 月 7 日)より、SHA-1SSL 証明書を拒否するポリシーがベータ版の一部ユーザに適用される予定です。結果が良好であれば、適用するベータ版ユーザの範囲を拡大してゆきます。来年 1 月に Firefox 51 がリリースされた際には、ベータ版と同じく一部のユーザにポリシーをまず適用し、やがて 2017 年の初めには、公に信頼されている認証局から発行された SHA-1 証明書のサポートを終了することになります。

SHA-1 証明書に関するご質問は mozilla.dev.security.policy へ直接お願いいたします。